Google Workspace × Claude で
6つのAIエージェントを実現する構成

6つのテーマを、データの機密度と使う人に合わせて4つの層に振り分けました。テーマごとに「どこで何が動くか」の図解と、完成後の画面イメージ(デモ)を用意しています。

デモ画面の社名・人名・数値・出典はすべて架空です

全体像:4つの層で使い分ける

A

全社員の日常利用

Gemini/NotebookLM/Workspace Studio

個人・小規模の定型業務。社員が Google Workspace の中でそのまま使います。

日常業務全般
B

部局に配る業務アプリ

GAS Webアプリ+Claude API

社員はブラウザで開くだけ。「アクセスしたユーザーとして実行」の設定にすると、Google のデータは開いた本人の権限で読みます。

② 企画提案③ 広告主まとめ⑤ 記事下書き⑥ 校閲
C

推進担当の試作・対話

Claude(Team/Cowork)+Google コネクタ

プロンプトやスキルをここで試作し、固まったら B・D に移します。

②③の試作分析・壁打ち
D

常時稼働のエージェント

Google Cloud 上の Claude Agent SDK+Cloud Scheduler

決まった時刻に自動で動く。スキルと MCP サーバーを使えます。

① 連携基盤④ 情報収集
共通の土台:Google Workspace(Drive・Gmail・カレンダー・スプレッドシート・Chat)
外部:kintone・Web・X

進め方:C で試作 → 社員に配るものは B、時刻で自動実行するものは D へ移す。

データの機密度で置き場所を決める

扱うデータ例置き場所の目安
公開情報他社の公開記事、政治家の公開投稿、企業の公開情報どの層でも可。Claude Managed Agents での試行も可
社内情報提案書、取引実績(kintone)、議事録Anthropic API(法人向けの入出力は既定で学習に使われない)、または Google Cloud 経由の Claude(データの扱いは Google Cloud の規約に従う)
未公開の記事・取材音声取材の録音、掲載前の原稿Google Cloud 内で処理。日本国内での処理が必須なら Gemini 3.5 Flash(東京で国内処理に対応)

Google Cloud 経由の Claude には東京リージョンがありません(最新モデルは global・us・eu。アジアは一部モデルのシンガポールのみ)。

Claude Managed Agents との相性

Anthropic が実行環境ごと運用するエージェント基盤です(ベータ版)。自前でエージェントの実行基盤を作らずに、定時実行・Web 検索/取得・MCP・スキルを組み合わせて使えます。

AGENTエージェントモデル・指示・ツール・MCP サーバー・スキルを定義
ENVIRONMENT実行環境Anthropic のクラウド環境、または自社サーバー上の環境
VAULT保管庫MCP などの認証情報を保管。トークンの更新も任せられる
SESSIONセッション1回の実行。ファイル・履歴を保持して作業する
SCHEDULE定時実行cron で決まった時刻に自動で起動

料金:トークン料金+稼働中のセッション1時間あたり 0.08ドル(応答待ちの時間は対象外)。Web 検索は 1,000回あたり 10ドル。

どこで動き、何が Anthropic 側に届くか

Anthropic 側届くもの・保存されるもの

  • 会話の履歴とツールの実行結果
  • スキル・メモリ
  • 実行環境のファイルと処理

自社側手元に残るもの・運用するもの

  • なし(実行環境は Anthropic が運用)

どちらの環境でも、会話の履歴とツールの結果は Anthropic のサービスに送られます。データを保持しない契約(ゼロデータ保持)の対象外で、Web 検索・取得は Anthropic 側で実行されます。「すべてを Google Cloud 内で完結させる」構成にはなりません。

6テーマとの相性

テーマ相性使い方引っかかる点
④ 情報収集◎定時実行で毎朝起動し、Web 検索・取得で収集して要約、Chat/Slack に通知扱うのは公開情報で、データ面の懸念が小さい。収集先は許可ホストに限定する
① 連携基盤○Managed Agents 自体がクラウドで常時稼働する土台になる。MCP の認証情報は保管庫に置くGoogle Cloud 内での完結が必須なら、Google Cloud 上の Agent SDK を選ぶ
③ 広告主まとめ○Web 検索(ドメイン指定可)と kintone API を組み合わせ、訪問予定に合わせて前日にまとめて作成その場で使う対話型なら、GAS+Claude API のほうが速い
⑥ 校閲○〜△Web 取得が使えるため、公的サイトだけを許可して事実確認できる掲載前の原稿が Anthropic 側に保存される。扱ってよいかの判断が前提
② 企画提案△標準スキル(pptx)と自作スキルで企画書を作成できる。夜間に好事例を整理する用途にも向く営業が毎回呼び出す使い方には、待ち時間と画面づくりの手間が合わない
⑤ 文字起こし△実行環境から外部の音声認識 API を呼べば構成できるClaude は音声を直接読めない。取材音声が Anthropic 側に渡る

◎=最適 ○=使える △=使えるが別の構成のほうが合う

進め方の目安

STEP 1
動作確認
SDK の入門手順で、エージェント・実行環境・セッションを作って動かす(30分程度)。
STEP 2
④で試す
設定をファイルで定義して ant apply で反映し、GitHub で管理。ネットワークは limited、定時実行を設定。
STEP 3
①へ広げるか判断
④の結果と、データを Google Cloud 内に置く必要性を見て、Managed Agents か Agent SDK かを決める。

設定の注意:ネットワークを unrestricted(制限なし)にすると、Web 上の文章に仕込まれた指示で、実行環境内のファイルや認証情報が外部に送られるおそれがあると公式に警告されています。bash の実行は既定で承認なしのため、limited に許可ホストを明示して使います。

① Claude と Google Workspace の連携基盤

Claude を社内の Google Workspace とつなぎ、クラウド上でエージェントを常時稼働させる土台です。

層D:常時稼働層C:対話での利用Managed Agents ○
STEP 1・Google CloudCloud Scheduler決まった時刻に起動
→
STEP 2・Google CloudClaude Agent SDKスキルを読み込む(コンテナで稼働)
→
STEP 3・ClaudeGoogle Cloud 経由の Claude作業の計画・判断・文章作成
→
STEP 4・Workspace共有された範囲だけエージェント専用アカウントの権限で読み書き
→
STEP 5・Google Cloud結果の保存とログ誰の権限で何を読んだかを記録
エージェント管理画面構築する画面のイメージ
朝の情報まとめ
毎日 7:00
週次の案件サマリー
毎週月曜 8:00
議事録の整理
手動で実行

実行する権限

エージェント専用アカウント(ai-agent@御社ドメイン)
閲覧共有ドライブ「AIエージェント用」 閲覧スプレッドシート「案件一覧」 編集フォルダ「週次サマリー」
上記以外の Drive・Gmail には触れません。
08:00:00 起動(Cloud Scheduler・毎週月曜 8:00)
08:00:02 スキル「週次サマリー」を読み込み(手順・出力形式・禁止事項)
08:00:05 Claude:先週更新された案件ファイルを確認する計画を作成
08:00:09 Drive:共有ドライブ内の更新ファイル 12件を取得(権限内) 08:00:11 スプレッドシート「案件一覧」:先週の更新 7行を取得
08:01:38 ドキュメント「週次サマリー_10月第3週」を保存 08:01:38 ログ記録:読んだファイル 12件・更新 1件・実行アカウント ai-agent@

構成のポイント

  • 本番は Google Cloud 上で Claude Agent SDK を動かします。環境変数 CLAUDE_CODE_USE_VERTEX=1 で Google Cloud 経由の Claude を使え、スキルと MCP サーバーは「全プロバイダーで動く」と明記されています。
  • Workspace への接続は、エージェント専用アカウントまたはサービスアカウントに共有した範囲だけにします。
  • ドメイン全体の委任は、Google が「全ユーザーのデータにアクセスできる」「避けられるなら避ける」と案内しているため使いません。
  • 推進担当の対話作業は、Claude Team/Cowork の標準 Google コネクタで足ります。

注意点

  • Google Cloud 経由の Claude では、Managed Agents・MCP コネクタ・Agent Skills(いずれも API 側の機能)・Files API・web fetch が使えません。
  • Google 公式の Workspace MCP は開発者向けの先行提供(Developer Preview)です。規約に「正式提供前の API 経由のデータを Google が利用し得る」「自社ドメイン外のユーザーに提供しない」とあるため、試作だけに使います。
  • Google Cloud 経由の Claude に東京リージョンはありません。

実機での確認が必要:Google Cloud 経由で Agent SDK のスキル・MCP(stdio/HTTP)が動くか。Cloud Run での稼働(公式のホスティング手順の例は Docker・Modal・Kubernetes で、Cloud Run の記載はありません)。